2015年10月29日木曜日

選手は上手くなるか

9月から始まったコーチングスクールでは一般科目と専門科目があり、年内にレベル1の合否が確定予定です。

一般科目は現在、解剖学、スポーツ機構と法律(スペインの)の試験をクリアして、明日は応急救護のテスト、専門科目はメソッド論とルールをクリアして、ゴールキーパーの結果待ちと、明後日は怪我と安全(解剖学的要素)の試験です。

専門科目であるメソッド論などは、レベル1で大まかに触れて、レベル2からはもっと詳細になって行くようです。
現在はPreparación Fisica(フィジカル)、テクニック、戦術論などの授業も行われています。とにかく、授業の時間がとても多くて長いです。それだけ、サッカーのコーチの知識を勉強するには時間がかかるということですね。

これからもっとサッカーの専門知識に入っていくので非常に楽しみです。



話しは変わって、僕が最近考えていることがあります。それは、

「選手は練習することによって上手くなるのか?」ということです。


バルセロナに来て現在フベニール(日本のユース年代)で研修してますが、または下のカテゴリーの練習を見てもそれを感じています。

最近は、極端に言えば「選手は練習で上手くなるのではない」、とも思っています。勿論、極端に考えるとですが、これはあながち間違いではないように思います。

何故かというと、スペインでは年間のリーグが確立されていて、毎週末真剣勝負のリーグ戦を戦っています。その間にある平日の練習は、そのための準備のような側面が強いからです。
週末の試合に向けて準備する。そしてその試合の中で選手は上手くなっている。選手はかなり高い強度で試合をこなし、試合後はかなり疲労しています。日本であるような「グランドが取れているんでもう一本やりましょう」とかは存在しません。もしやれば選手は間違いなく怪我します。

(これは試合の「質」に関係しますが、それについてはまた後日。試合とインテンシティという項目で考えたいと思います。)

日本の育成年代の場合、週末に必ず1試合、リーグ戦があるわけではありません。時には公式戦が1か月以上無いというような状況もあります。ジュニアユース年代でも一日に公式戦の試合が2試合あるということもあります。
プレシーズンとシーズンの区別もありません。

スペインに限らず、サッカーの先進国では育成年代はプロまたは大人と同様、プレシーズンがあって10か月くらいにわたって週に1試合のリーグ戦を戦い(ホーム&アウェイ)、その後サッカーを全くしないオフシーズンがあって、その間に移籍市場が動いて、と同じサイクルで動いています。

こういう環境が日本には全くありません。それが良いとか悪いとかではありませんが、サッカーがグローバルなスポーツで世界と並びたいならすぐにでも変えて行かなければなりません。
日本だけの閉じたスポーツなら「ジャパンズウェイ」、日本独自のやり方でも問題ありません。
野球のように日本国内でも十分成り立って完結するならそういうやり方もありますね。(野球は日本で地位と文化を作りました)



話しはそれましたが、選手はどのように上手くなるのでしょうか。
また、「上手くなる」という表現が少し違うのかもしれません。「上手くなる」というと技術面が向上しているような印象を受けてしまいます。
足が速くなったら、またはリフティングの回数が増える、もしくは新しいフェイントができるようになる、それは「サッカーが上手くなっている」と言えるのでしょうか。
(これに関しては僕はよく分かりません。そうとも言えそうだし違う気もする。)



では、「サッカーが上手くなる」とはどういうことか。


今までこのようなことを深く考えたことがなかったのですが、今年の夏に、それについてバルセロナで勉強する機会がありました。そこで得た答えは「技術的側面が向上する」ではなく、「上のカテゴリーのレベルに適応できるようになる」、と表現されたものでした。

スペイン語で言うと「adaptar」(適合(適応)させる)でしょうか。

僕はここに、日本での「サッカーが上手い」とスペインでの「サッカーが上手い」と言う表現に大きな違いがあるように感じました。
そしてその違いが世界的な大会での結果に大きく影響していることも。



もしくは「上手くなる」ではなく「レベルアップする」というほうが適切かもしれません。
(僕は若干は選手は練習でも上手くなっているのではないかと思いますが、そもそもの根本的な考え方の違いかもしれません。日本とは違うフィルターでサッカーを見ているので、根本が違います)


選手が成長して行くとはどういうことか。これは普段あまり考えはしませんが、とても重要な問題です。
(サッカーというスポーツはいろんな要素が複雑に絡まりあっているので、一概に簡単に説明できませんが、少しづつ理解して行くと、その構造が見えてきます。)


次回、「上手くなるとは」について僕なりの詳細な考えを書きたいと思います。



最近の僕のテーマは「選手はどのように上手くなるか」、「一日2試合の無意味さ」、「アスリート的なフィジカルの視点ではサッカーを理解できないこと」、「なぜ日本はインテンシティが低いのか」、「サッカーのフラクタル性」、「試合の後に走ることの無意味さ」、「日本で流行るサッカースクールもしくは書籍の...」の、「文化的価値観によるスポーツの意義」、etc。

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